14歳でプロになった藤井壮太四段の生きているプロ棋士の世界とは
2017年7月時点、約160人のプロの棋士が活躍していますが、プロの棋士はいったいどのようにして収入を得ているのかと言うと一般的に順位戦やタイトル戦と呼ばれる対局で勝利し、賞金を得ることで収入を獲得しています。
このタイトル戦は新聞社や証券会社などがスポンサーになり賞金を提供しています。
このタイトル戦と呼ばれる対局は「プロ公式戦」や「棋戦(きせん)」とも呼ばれていますが、その年によって異なるものの1年間に17大会ほど開催されていて、特に有名な大会が「名人戦・棋聖戦・王位戦・王座戦・竜王戦・王将戦・棋王戦」の7つとされています。
これらは7大タイトルと呼ばれ、将棋ファンのみならず世間からも注目されるタイトル戦です。
さらにこの7大タイトル戦で優勝した棋士は優勝賞金のみならず「肩書き」を手に入れることができます。
例えばAさんが「竜王戦」で優勝した場合、優勝後は「A竜王」と名乗ることができます。
プロの棋士達からすると賞金よりも価値があるものとされていて、この肩書きが手に入ることにより、全国の講演会や将棋に関するイベントなどの出場も増え、収入も増える仕組みになっています。
このようにタイトル戦は賞金だけでなく、勝者にのみ許される肩書きも手に入るため非常に注目されるものです。
1年を通じて開催される7大タイトル戦にはそれぞれ特徴や逸話があり違った面白さがあります。
超長期戦の名人戦
名人戦は読売新聞と毎日新聞が主催しているタイトル戦で、4月から6月にかけて7番勝負で実施されます。
新年度の訪れを告げる大会ともされ、将棋ファンの間で「春は名人戦から始まる」とされるほどの風物詩です。
1局を2日かけて実施する「2日制」で行われます。
それぞれに与えられる持ち時間が9時間とタイトル戦のなかでも最長なのが特徴です。
棋士にとって長期戦は精神的にも肉体的にも辛く、いかに冷静さを長く保つかが鍵となるタイトル戦です。
夏の初めの棋聖戦
名人戦の興奮も冷めぬ間にすぐに「棋聖戦」が始まります。棋聖戦は産経新聞が主催しており、1次予選、2次予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士の計16名で争われます。
6月から8月にかけて5番勝負で実施されます。
1局を1日かけて実施する「1日制」で持ち時間は4時間です。
名人戦と比較すると半分以下の持ち時間ということがわかります。
2008年から羽生善治棋士が9連覇中で毎年連覇をどこまで延ばすか注目されています。
本格的な夏の到来、王位戦
7月から9月にかけて7番勝負で行われるのが「王位戦」です。
新聞三社連合が主催し、予選トーナメントの勝者とシード4名が紅白の2ブロックに別れ、それぞれリーグ戦を実施、リーグ勝者同士で対決をし、最終的に残った者が王位と対戦します。
2日制で持ち時間はそれぞれ8時間の長丁場です。
棋聖戦同様に羽生善治棋士が得意とするタイトル戦です。
夏の終わりを告げる王座戦
9月から10月にかけて開催されるのが「王座戦」です。
5番勝負で持ち時間5時間の1日制で開催されます。
日本経済新聞が主催し、過去には羽生善治棋士が19連覇を達成し、羽生棋士のためにあるような大会とも言われています。
夏の間に行われる棋聖戦、王位戦、王座戦の3タイトルは羽生善治棋士が滅法強く「夏の羽生」と言われるほどです。
タイトル最高峰、竜王戦
10月から12月にかけて実施される「竜王戦」は7番勝負で持ち時間8時間の2日制です。
読売新聞が主催し、7大タイトル戦のなかで最も賞金額が高く注目度も高いタイトル戦です。
2008年、渡辺明が羽生善治棋士を3連敗からの4連勝という大逆転劇で勝利を収めました。
竜王戦には竜王位を連続5期または7期以上保持した者に贈られる特別な「永世竜王」という称号が与えられ、渡辺棋士はこの大逆転勝利により「永世竜王」の称号を手に入れました。
新年は王将戦から
新年の1月から3月にかけては、7番勝負で持ち時間8時間の2日制で「王将戦」が実施されます。スポーツニッポンと毎日新聞が主催する王将戦はここ数年では珍しく毎年新しい勝者が生まれています。
新年早々、番狂わせが起こるため将棋ファンの間では見逃せないタイトル戦のひとつです。
シーズンの締めくくり、棋王戦
2月から3月にかけてタイトル戦の締めくくりを飾るのが「棋王戦」です。
共同通信が主催する棋王戦は5番勝負で持ち時間5時間の1日制で実施されます。
棋王戦には5期連続で棋王位を保持した者にのみ贈られる「永世棋王」という特別なタイトルがあり、羽生善治だけがこのタイトルを保有しています。
将棋にはこのようなそれぞれ特徴があるタイトル戦が1年を通じて実施されています。
夏に強い者や、冬に強い者などタイトル戦ごとに楽しみ方があります。
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