資本主義経済の発達した現代の日本において、私たちは好むと好まざるに関わらずお金について考えながら生きていかなければなりません。
学生を卒業して社会人として給与所得を得るようになってから、あるいは、もっと早くからお金についての教育を受けていたり、お金と切実に向き合わざるを得ない環境で育ったという方も皆等しく、自立して生きていこうとするならばこれから一生お金について真剣に考えていかなければなりません。
そのように限りある貴重な人生のうちの何十年もの時間を費やして付き合っていかなければならないお金ですが、一方で日本の学校教育ではお金について教えることが少なく、資産運用やファイナンスについて具体的な説明が載っている教科書はもちろん授業中の教室で使われることはありません。
しかしお金についての正しい知識をできるだけ若いうちに身に付けておくことは先々の不安を解消したり失敗を未然に防ぐ上で有用であるとともに必要不可欠なことです。
今回はそんな普段何気なく手にして使っているお金についての基本的なことを一緒に考えていきましょう。
「お金の正体」
お金というものには3つの機能があります。
1.交換機能
いつでも何かに交換できるという機能
2.価値尺度機能
ニンジン1本100円、ボールペン1本200円というふうにお金が価値の尺度となって異なるものどうしを比較することができるという機能
3.貯蔵機能
お金は自然に消えてしまうことがないのでいつまでも価値を貯蔵することができるという機能
そしてそれらの機能が成り立つのはお金を使う全ての人たちが以上のようにお金が機能するということを信じているからなのです。お金の本質はまさにそのように信用されているというところあり、日ごろ目にする紙幣そのものは数字と共に「日本銀行券」と書かれたただのお洒落な紙切れでしかありません。お金に対して客観的な見方をするためには、そのことを念頭に置いておく必要があります。
「信用を増やす」
お金の本質は、その機能を全ての人に信用されているというところにあると言いましたが、これは私たち個人の社会的価値についても当てはめて言うことができます。私たち一人一人がそれぞれ社会的にどれだけ信用されているかということは何も銀行のローンやキャッシングの審査をする時だけに限って現れてくる話ではありません。
例えば一般的なビジネスパーソンが毎月固定給をもらえるのは、彼らが決められた時間に出勤してやるべき仕事をこなしてくれているという信用を経営者が持っているからです。
もしも新しい勉強をして資格やスキルを取得した場合、実際はそうでなくともそれが実務に結びついて仕事の効率を上げると上司や経営者から信用されたなら昇給・昇進することもあります。その場合、そのビジネスパーソンは自分の信用を増やしたということができるでしょう。
もっと具体的な例を挙げますと、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹さんの例は分かりやすいでしょう。
彼はお笑い芸人の活動をしながらバラエティ番組やインタビュー等で「読書好き」だということを社会に信用させていきました。もちろん又吉さんは本当に大変な読書家で、意図して戦略的にそうしていったのではないでしょうが、彼が「読書好き」だということはテレビを見る人間には周知の事実となりました。
そして作家としてデビューして出版された『火花』は非常な勢いで売れました。もちろん内容も読みごたえのある非常に優れた小説であったことは確かですが、そこまで読書が好きな人間の書いた物語ならきっと素晴らしい読書体験を提供してくれるに違いないという信用に基づいた期待が既に存在していたことはブームの要因として大きかったと言えるのではないでしょうか。
以上で見てきましたように、私たちの社会においては、お金と個人の信用は実は表裏一体で不可分な関係になっています。
「何から始めるか」
それでは自分の信用を増やすためにはいったい何をすればいいのでしょうか。
もちろん今の仕事を愚直にこなしていくことも絶対に大事なことです。その上で余剰の時間を自分の信用を増やすための投資に回すのがいいでしょう。
元ライブドア社長の堀江貴文さんは著書の中で信用への投資として「採算度外視」で月間60~80時間無償の仕事をすると語っています。
さすがに普通の人は最初からそこまでできないかも知れませんが、自分の信用を増やすという目的意識を持って、報酬を考えずにまずは身近なことで自分にもできることから始めてみてはいかがでしょうか。
おのずと報酬アップにつながることと信じています。
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